こんにちは、コムハウス福住です。
INTERIOR trip-7

先日、関西方面に出張で滋賀~京都~大阪(田中と川原は徳島へ)と大移動した2日間でした。
初日は滋賀県の住宅会社さんのモデルハウスの視察へ。コムハウスVC事業HAUS-laboの建売モデルハウスを建築されたのでそちらを見学させていただきました。

他社さんの建てられる住宅や事務所内部を見る機会は少ないため県外の住宅会社さん訪問は楽しく新鮮で、地域性の違いも感じることができ刺激を受けます。商圏が被ることがないため情報交換しやすく、デザインや素材、建材など詳しく教えてもらえたりもします。

エントランスや打合せスペースの演出、グラフィックデザインやその使い方など。コンセプトや建築・インテリアのテイストが違うからこそ気づくことも多く、また会話の中で今どんなことが課題か、こんな時どうしているかなど意見交換もでき持ち帰るヒントも多く有意義な時間を過ごすことができました。

2日目、私は大阪へ。気になっていた「千鳥文化」という文化複合施設のある北加賀屋という町に行ってみました。北加賀屋は大正時代に造船の町として栄えた工業地帯です。2004年頃から「芸術や文化が集積するまち」を目指し、名村造船所大阪工場跡地の利用や空家の活用が進んでいます。クリエイティブ拠点やアートスポット、飲⾷店が街中に点在する「アートのまち」として人気を博している北加賀屋。想像以上に楽しい町でした。昔からの建物やお店も残り下町らしさと現代らしさが共存していて、この様子をいい意味で「カオスな感じのまち」と呼ぶ声もあるそうです。

「千鳥文化」
大阪府大阪市住之江区北加賀屋5丁目2-28

1960年代に建てられた建物をリノベーションしカフェやイベントスペースとして再生。アーティストやクリエイターの発表の場として活用されています。元々は店舗兼労働者の住宅として使われていたそうで、そのため増築の形跡が多く残っています。道沿いの壁は全て撤去され、造作のアルミサッシで全面ガラス張りというぱっと目をひく佇まいです。古さと新しさが入り混じる独特な雰囲気なのですが、主張しすぎず静かに町に馴染んでいる姿に私はなんだか安心する~という感覚?そんな印象を受けました。

建物の中に入ってみると構造躯体だけを残しリノベーションされていることがわかります。屋根も波板のポリカーボネートで自然光をたっぷり取り込む設計です。外のような、室内のようなスペースは自由に出入りOKで私が訪れた時はランチを楽しまれている方がいらっしゃいました。奥には薪ストーブがあり、寒い日は暖をとりながら、バーもあるのでしっぽり楽しめるのでしょうね。

老朽化が進んでいたため、工事前は当然のように解体の計画があったそうです。
「人々の暮らしの痕跡を刻んだ建物は一度崩してしまったらもう二度と取り戻せない」「つくろうとしてつくれるものではない」という北加賀屋に拠点をおく建築家集団や地域のクリエイターの意見が取り入れられ、部材のひとつひとつを実測して補強、改修が進められ3年かけ開業に至ったそうです。当時の設計図などはなく、気の遠くなる作業が地道に行われたそうです。

ロゴやテナントの看板も可愛く、素敵でした。

写真を見返していて、改めてモルタルやカチオンって万能だなと。リノベーションも新築も、店舗にも◎ シンプル・ナチュラル・モダン、オールジャンル◎ 外・内装、壁や床、天井仕上げにも◎ こういった古い建物では補強材としても使われ、実際にモルタルの補強がなされた箇所がいくつもありました。

「千鳥文化食堂」
昭和の文化住宅の趣をそのまま活かして改装された外観や店内は、レトロと新しさが入り混じった一風変わった雰囲気です。地産地消で素材にこだわった日替わりランチやケーキなど美味しそうなメニューがたくさん。迷いに迷って「チーズ&ハラペーニョのグリルサンド」と「アイスチャイ」をいただきました。メニュー名もおしゃれ。パンも北加賀屋のパン屋さんのパンが使用されオーダーが入ってからアツアツに焼いて提供されます。結構アツアツでした。チーズとピリ辛唐辛子、相性抜群でとてもおいしかったです。

このちょっとレトロな感じがかわいらしく、たまりませんね。

「千鳥ホール」
2階への吹き抜けが特徴的で、普段様々な企画展示やイベントが行われるホールです。アーカイブを見てみるとトークショーやヴァイオリンコンサート、珈琲会、パターゴルフクラブ??などなど幅広い分野のイベントが行われていました。天井、屋根もしっかり補強され新建材ともとの古い木材が融合したつくりで、古さの残る建物と近代的な照明器具、ライティングのコントラストが楽しい空間でした。

素敵にデザインして残す。それだけではなく町の歴史や人々、暮らしに想いを馳せる。その情熱が生まれ変わった建物と町の魅力に繋がっていることを体感し、リノベーションや古い建物の再生についてのとらえ方が変わったというか、奥行がでたような気がしています。

古い建物の再生やまちづくりは私の普段の仕事とは違う分野で規模も異なりますが、人が集う場や空間をつくるということは、ヒト・モノ・コトの背景を知ること、人や暮らしに想いを馳せることを継続的にやっていくことなのだと実感しました。つくって終わり。ではない暮らしづくりを続けていけたらと思います。

また是非訪れたい素敵な町、北加賀屋でした。

INTERIOR trip-7
最後までお読みいただきありがとうございます。