「心地良さ」を求めて人が集まる場所|Pizzeria Bar e Deli TANPOPO

「おいしい」を作る人たちの、想いと暮らしかた

江津湖の湖畔のゆるやかな坂道の途中にある、白い外観の建物。
建物の周りは青々とした緑で囲まれ、まるで物語に出てきそうな雰囲気のあるこのお店が今回ご紹介するピッツェリア 『TANPOPO』。


常連客も多く、本格イタリアンを肩ひじ張らず気軽に楽しめるということもあって、以前から人気のお店です。
それに加え、『TANPOPO』 の人気の秘密はこのロケーションの良さ!
少し高い場所にお店が建っているので見晴らしがよく、湖畔の空気を感じながら食事を楽しむことができるのです。
もちろんテラス席もあります。


私も何度かランチで訪れたことがありますが、解放感のある空間でいただく薪窯焼きの本格ピッツァは、抜群のおいしさ!
店内の雰囲気も接客もロケーションもすべてにおいて心地よくて、思わず長居してしまいます。
そんな長く愛されるお店を切り盛りしているのは、森さんご夫妻。
今回はやさしい笑顔がとても素敵な奥様の森 由紀さんに、お話を伺ってきました。

— まず、お店を始めようと思われたきっかけは何ですか?

もともとはサラリーマンをしていた主人ですが、以前からお店をしたいという夢があったんです。
結婚してからすぐのことで当時は私も別の仕事をしていたんですけど、その仕事を辞めて夫婦二人三脚でお店を始めることになりました。
お店を始める前に主人は飲食店で数年働いていましたが、長年修行してからの独立という訳ではなかったので、最初は半分独学みたいな感じでスタートしたんです。
今思えば大変なこともたくさんありましたね(笑)

— オープン当初から20年間ずっと同じ業種で続けてこられたんですか?

いえ、今のピッツェリアを始めたのは11年程前にこの場所に移転してからなんです。
最初は健軍にお店を構えていて、その時は今とは違う洋風の創作料理屋を営んでいました。
まだ20年前の健軍には、そういった洋風の創作料理屋のようなお店がほとんどなく居酒屋ばかりだったんです。
なのでみなさん新鮮だったみたいで、とてもありがたいことに、その時からたくさんのお客さんが来てくださっていました。

— 色んな歴史を乗り越えて今があるんですね。お店の名前 『TANPOPO』 にはどんな意味がこめられているのですか?

タンポポの綿毛っていろんな所に飛んでいって、いろんな所で咲きますよね。
そんな綿毛のように飛んで行った先々で知ってもらって、その地域に根付くというか・・・
いろんな場所で、いろんな人に愛されるようなお店になってくれたらいいなという想いで名付けました。

— 『TANPOPO』 の料理へのこだわりはどういったところにありますか?

やはりうちはピッツェリアなので、薪窯で焼くPIZZAが一番のこだわりですね!
それに薪で焼くお肉もこだわりのメニュー。
薪で焼くと、お肉の香りが香ばしく旨みも力強くなって、お肉本来のおいしさを引き出してくれます。
あとは主人自身が野菜好きということもあって、野菜にもこだわっています。
使用しているのはほぼ熊本の農家さんから仕入れた野菜。
有機野菜も使用しています。

— 日々の中でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

やっぱりお客さんが楽しい時間を過ごしていらっしゃる姿とか、美味しい!と喜んでくださる声を聞くととても嬉しいですね。
それに常連さんや新しいお客さん、いろんな方とお話ができるのもすごく楽しいんです。
私は普段ホールでの接客対応をしていて、お客さんと一番近い距離にいるので、お客さんの声や反応を間近で感じることができる。
一番のやりがいはそういうところにあるのかなと思います。
たくさんお店がある中で、わざわざうちを選んで来てもらったからには、「来てよかった、楽しかった、美味しかった」と感じてもらいたい。
来てくださったみなさまに「いい時間」を過ごしてもらいたいなというのは、いつも思いながらお店に立っています。

— 毎日を楽しく暮らすために大切にしていることはありますか?

日頃から疲れやストレスを溜めすぎないように心がけています。
というのも実は私、数年前に大きな病気をしまして・・・
今の店をオープンしてから毎日忙しくてバタバタした生活を送っていたのですが、思っていた以上に心と体に負担をかけてしまっていたみたいで。
体調が回復してからは疲れとストレスを溜めすぎないよう、ある程度何かで発散したり無理をしないようにして、今は元気に過ごしています。

— ストレス発散や気分転換にはどんなことをされているのですか?

やっぱり、一番ストレス発散や気分転換になるのは、お友達とのおしゃべりですかね。
女性にとっておしゃべりの時間ってすごく大事ですよね~(笑)
休日は家族と過ごす時間を作ったり、ゆっくり映画を観たり、気持ちのいい季節には店の前にある江津湖沿いの公園を歩いたり。
すごく気持ちいいですよ、景色もいいし。

あとはお店にウクレレの先生を招いて、4年前から月2回ほど「ウクレレ教室」を開催しているんですが、私も生徒として習っているんです。
ウクレレの演奏はストレス発散にもなるし、何より音が癒しになっています。
時々発表会もあるのでそれに向けて練習するんですけど、みんなで一緒になって何かに取り組んだり、そういう時間も楽しいですね。

— 最後にお店として、また森さんご自身としての今後の未来図を教えてください!

私としては「絶対に生涯これをして生きていきたい!」みたいな強いこだわりはないんです。
でもきっとこの先も、これまでのように時代や要望に合わせてカタチを変えながら、ずっと何かしらお店はやっていくんだと思います。
そしてなにより大切にしたいのは、とにかく健康でいること!
もちろん自分自身も、周りの人たちも。
何をするにも体が第一。
健康じゃないと自分ひとりでは何もできないということを身をもって経験したので、今は健康でいることの大切さがより一層わかるようになりましたね。

過去の病気という経験を経て、「自分らしく楽しく暮らす方法」を見つけた奥様の森 由紀さん。
その時の経験があったからこそ、今の素敵な姿があるのだと思います。
今回の取材で改めて感じたのは、長く続くお店にはやっぱり理由があるんだなということ。
「いいお店」や「人気店」の定義は、人によってまたはお店によっていろいろかもしれませんが、やっぱりなんといっても一番は「居心地のいいお店」なんじゃないかと思います。
そしてその居心地の良さを作っているのは「人」。
森さんご夫妻をはじめ、働かれているスタッフの方達の気遣いだったり距離感、そして空気感。

コーヒーを飲みながら目的もなくただゆっくりくつろげたり、
偶然近くに来たから、ちょっとお店に顔を出しておしゃべりついでにランチしたり、
美味しいPIZZAとお酒で素敵な時間を過ごしたくて、わざわざ出向いたり。
『TANPOPO』 には、そんな思い思いの時間を過ごすのにぴったりな、それぞれの「心地良さ」がある場所でした。


Pizzeria Bar e Deli TANPOPO(タンポポ)

[ 住所 ] 熊本県熊本市東区広木町30-84
[ Tel ] 096-335-8886
[ 営業時間 ]ランチ 11:00-15:00 カフェ 15:00-17:00 ディナー 17:00-22:00
[ 定休日 ] 火曜日