「おいしい」を作る人たちの、想いと暮らしかた.

今、熊本にはおいしいパン屋さんがたくさんあります。
パンもお店によって個性いろいろ。
おいしいパンに目がない私は、その日の気分に合わせてパン屋さんを選んでいます。
ガツンとしたボリュームのパンが食べたいとき。
とにかくあま~いパンが食べたいとき。
素朴なやさしいパンが食べたいとき。
そして、「今日は元気になれるパンが食べたいな」と思ったときに無性に行きたくなるのが、今回ご紹介するomusubi.(おむすび)という名のパン屋さん。

 

 

会うと元気になれる、笑顔がとっても素敵な店主と、
おいしさと愛情がぎゅっと詰まった食べ応えのあるパンたちに、
多くのファンが魅了されています!

お店があるのは、熊本市南区南高江。
周りには大手ディスカウントストアや駐車場の広いコンビニなどもある、ひらけた場所にあります。

「コンコン」とドアをノックすると、いつもの素敵な笑顔で出迎えてくれたのは店主の上村 麻耶子さん。
店内は木のぬくもりとオレンジの電球が温かみのある空間。

入ってすぐ右側には、なんと鳥たちが飛んでいる小さな森が!
ここはコーヒーを出しているカウンターだそうです。
とっても可愛い!
まだ開店前の時間帯にお伺いしたのですが、ショーケースの中には今朝作られたばかりの出来たてのパンがずらりと並んでいます。

おいしそうなパンたちを横目に、今すぐ食べたい欲を抑えながらまずは今回の目的の取材を・・・。
ということで、omusubi.店主の上村 麻耶子さんに、パンへの想いや今後のことなどいろいろと伺ってきました!

— お店をオープンされてどれくらいになりますか?

昨年の2/23にオープンしたので、1年3ヵ月くらいになります。
店舗を持つ前は、熊本市北区にあるセレクトショップ内の一角をお借りして、週に2回ほどそこで販売させてもらっていました。
1年くらいはそんな感じで活動して、そこから少しずつマルシェなどにも出店させていただくようになりました。

— ご自身でパン屋を始める前は、何のお仕事をされていたんですか?

もともとは事務員の仕事をしていました。
最初はパン屋になるなんて全然考えてなかったんですが、事務員を辞めたときに時間に余裕ができたので前から興味があったパン作りを一度してみようと思って、自分で作ってみたのが始まりです。
で、実際作ってみたらなんだかおもしろくて、パン教室にも通うようになり、それからパン作りにどんどんはまっていきました。その後町のパン屋さんで、3年くらい働きました。

— 趣味のパン作りからスタートして、その頃には想像もしてなかったお店を数年後に出されるってすごい展開ですね!

そうですよね。お客さんや周りの人たちが私の作ったパンをすごく誉めてくださるので、調子に乗ってお店出しました(笑)
・・・というのはちょっと言い過ぎかもしれないけど、周りの人たちの要望だったり自分自身の気持ちだったり、流れに身を委ねて行動していた結果、今のかたちにたどり着いた感じです。
でも、いつか何かお店はしたいなとは、以前から思ってたんです。

— パンのどんなところに魅力を感じますか?

実は私自身パンはあまり食べないんですよ。
パンを食べることが好きというより、どうやらパンを作る工程が好きみたいで。
丁寧に丁寧に時間と手間をかけても、作れるのは少量のパン。そんな手のかかるところが好きなんだと思います。

あとは、パンってすごくかわいいんですよ!
完成したパンの形や見た目ももちろんかわいいんだけど、作る工程で発酵してる姿なんかが特にかわいくて。
ぷーっとふくらんでツルんとしてて・・・分かります?(笑)

— う~ん・・・分かるような分からないような(笑) でもパンへの「愛」は伝わってきました!
パン作りに対するこだわりはどういうところにありますか?

こだわりかぁ~改めてそう言われるとなんだろう。
パンの種類によって生地は味を全部変えてること・・・ですかね。
全てのパンを全て違う生地で作っていたら時間も手間もコストもかかってしまうので、たぶん一般的には(パン屋の規模にもよりますが)4種類くらいのパン生地をベースに色んなパンを作
ているお店が多いと思うんですけど・・・
私はそうせず、全部一から生地を変えて作ってます。

— 手間も時間もかかるのに、それでもひとつひとつ生地から丁寧に作られている・・・それってすごいこだわりじゃないですか?!

そっか!
以前働いていたパン屋がそうだったし、自分の中ではそれがずっと当たり前と思ってやっていたので・・・自覚してませんでした(笑)

― あの、ずっと気になってたんですけど・・・パン屋なのにomusubi.(おむすび)ってなぜですか?!店名の由来を教えてください!

由来は東日本大震災が起こりテレビを観ていた時に、東北の人たちが「おにぎり」のことを「おむすび」って言っていたのを聞いたことからなんです。
熊本では「おにぎり」と呼ぶので「おむすび」と呼ばれてる理由がなんだか無性に気になって、その時調べたんですよね。
そしたら「おむすび」という呼び方は、人と人とを結ぶ意味があるということが分かったんです。
それから数年経ってお店を持つことになり、お店の名前を考えていた時にその言葉をふいに思い出して。
パン屋なのに「おむすび」って覚えてもらいやすいかも!というのと、私が作ったパンを通して誰かと誰かの縁が結ばれていけばいいな、という想いで「omusubi.(おむすび)」に命名しました。

—「おむすび」という名前の中に、実はそんな素敵なメッセージが込められていたなんて・・・グッときました!
日々自分らしく楽しく過ごすために、何か大切にしていることはありますか?

やりたいと思ったことはすぐやる。
会いたいと思ったらすぐ会いに行く。
思ったら行動することですね。
普段はこの店に一日中いるので、休みの日はだいたい誰かに会いに出かけてます。
もともとはそんなに行動的な方じゃなかったんですけど、やっぱりね、熊本地震があってから明日があるって当たり前じゃないなと思うようになって。
後悔のないようにしたいという気持ちは、地震を経験してから変わりましたね。

— 熊本地震は上村さんにとって、今後の人生を変えるような大きな出来事だったんですね。
それでは最後に、ご自身の今後の未来図を教えてください!

いつかカフェとかしたいかな!
たとえパン屋じゃなくなったとしても、みんなが気軽に集まりたくなるような場所を作りたいですね。
あとは健康で元気でいれればいい(笑)
それが一番!

omusubi.のパンは生地へのこだわりも半端じゃないのですが、パンの中に入っているあんこなども手作りしていらっしゃって、これがまたおいしいんですよね。
パンの具材は上村さんの気まぐれで時々作られるそうなので、それは買いに行った時のお楽しみに♪
楽しい時間はあっという間。
もっと色んなお話しを伺いたかったのですが、そろそろお別れの時間が迫ってきました・・・

話せば話すほど、なんだかもっと知りたくなる魅力を持つ上村さん。
そしてそんな上村さんの作る、シンプルで素朴なのだけどまた食べたくなる美味しさのパンたち。
どちらもクセになります。

みなさんも、
おいしいパンが食べたいとき、
ちょっと元気をもらいたいとき、
ぜひ上村さんに会いに行ってみてください。

すてきな笑顔とおいしいパンたちが迎えてくれますよ!


omusubi.(おむすび)

[ 住所 ] 熊本県熊本市南区南高江2丁目11-20
[ 営業時間 ] 11:00-16:00 (売り切れ次第終了)
[ 定休日 ] 木曜日+不定休