毎月一度、家にまつわるお話をしています、島田幾子です。

今回の主人公は「壁」です。

家の壁のことを考えるなんて一生のうちで何回あるでしょうか。

コムハウスさんのようなお仕事をされている業界の方々や関係者さんは、

毎日のように「壁」の素材やあり方、デザインなどに向き合っていらっしゃるのでしょうが。

一般的に私たちは、家探しの時に内見した物件で

この部屋は白い壁ね
キッチンはタイル張りね
はいはい、ここは木目調ですねー

なんてことを意識したり、家を建てる時やリノベーションすることになった時に
ほぼ初めてと言っていいほど、「壁」というものに向き合うことになります。

壁紙だけでもこんなに豊富にありますが、どれにしますか?
塗り壁にしますか、それともペイントに?色は?
タイル張りもありますよ。

どうする?
どうしよう?

決断力も試されることになるわけですが笑

ちなみに我が家の壁の素材は、3種類。

90%は珪藻土。
8%が塗装。
2%はキッチンの一部とバスルーム内のタイルです。

ほぼ珪藻土に囲まれて生活していると言っていいと思います。

珪藻土(けいそうど)は藻類の一種の珪藻の殻の化石からなる堆積物らしいです。

海の深い深いところで作られたのかなーと
施行当時、深海を想像しただけでなんだかワクワクしたことを思い出します。

さらに珪藻土は、呼吸をし空気を吸ったり吐いたりすると聞いて

日本の障子や襖などにも近いのかな

湿気の多い季節がある日本の気候には合っているのかな

と、いいね!いいね!と選びました。

珪藻土ではなく、塗装にした場所は天井とキッチンです。
さすがに油汚れに珪藻土は油を吸ってしまったら
汚れを落とすのが大変かもということで、お手入れ優先に。

この珪藻土、仕上がり感もとても良く壁紙にも塗装にもない
良い表情をしています。

が、ただただ弱点が、、、

世の中に完璧なものはありません!
わかっています。
わかってはいるのですが、

触るとザラザラして
手が真っ白になります。

黒い服を着て壁に触ったらもう大変。

白い藻の粉がつき、うわあー!と言いながら
悲しい顔つきでパンパンする。

我が家の日常風景です笑

特に、我が家の珪藻土の種類にも原因があるようで
全ての珪藻土がそうなるわけではないので
誤解のないようにしてくださいね。

長所があれば短所もあるのが世の常ですよね。

お手入れが楽
ずっと綺麗に使える
も、正直とても魅力的です。

それでも私はこの壁が好きです。

そんなに主張するものではないですが
家全体を包む柔らかな光の印象と
淀みのない空気感は
この珪藻土のおかげと思っています。

仕事柄、経年変化したものや
時代を経たビンテージの家具などと付き合っていると
多少不便でも、ここが良いのよね!
不便を受け入れてでも使って行きたい
と思わせてくれる「何か」があります。

言葉では表現しがたいのですが
私の知識では説明のつきにくい「動物の本能」とか
学術的には「生理的な何か」に働きかけがあるのかも?
そんなことに想いをはせてしまう、私です。

おうちの「壁」一つとっても想いがたくさんあるものです。
様々な素材のパーツが組み合わされ構築されている家。

ひとつひとつを細かく掘っていくと大変な作業になりますが、
そこをサポートしてもらえるのが、建築家さんやコムハウスさんのような
デザインハウスのビルダーさんなのですね。

私たちが自ら安らげる場所として大切に考える家。

家には住む人の個性、こだわりが、さらには生き方までが垣間見られたりします。

家を大事に考えることは、家族を自分をも大事にすることなんだろうなと。

しみじみしながら、また次回まで。


karf ディレクター

島田幾子 Ikuko Shimada
東京・目黒から代官山に移転したばかりのインテリアショップ「karf」で店舗全体の企画を担当。
長年インテリアに携わってきた立場に加え、生活者目線の住まいと暮らし、親として学んできたことや
子育ての環境への考えを、パーソナルサイト「Good Life Tips」で発信。
その人気記事から2023年、絵本『家具ものがたり』を絵本作家の松田奈那子さんとの共著で出版。