こんにちは、コムハウス福住です。
INTERIOR trip-4

Lurf MUSEUMというカフェ&ギャラリーに立ち寄った時のことです。
東京代官山にあるLurf MUSEUM。反対側まで抜ける広い空間に、デンマークのヴィンテージ家具が並び、カフェではその家具でゆったりくつろげる、とても贅沢なカフェ&ギャラリーです。

普段、滅多に見ることができない家具ばかり、それはもう、、圧巻でした。
デンマークのヴィンテージ家具、デザイン背景なども含めお話しできればと思います。


ヴィンテージ家具のスマートな佇まいとPHランプから漏れるやわらかなあかりがRCの無機質さと融合し
もう本当になんとも言えない非日常空間。世界が広がっていました。

カフェの一角に設けられたミュージアムショップ。

開催されているアート展のグッズ販売スペースで壁面の棚にモーエンス・コッホのブックケースが使われていました。繊細なラインが美しく、ルイスポールセンのPHシリーズの照明もとても素敵でしばらく見惚れてしまいました。モーエンス・コッホはデンマークの建築家・デザイナーでデンマーク家具の黄金比の基礎を築いた人物です。代表作の一つが写真のブックケースと言われています。

カフェカウンターもブックケースが使用されていました。カフェの席からの眺めも最高で、うっとり。至福の時でした。このブックケースは、コッホが自邸の書斎で使うために設計したことがはじまりだそうです。自分で使うことが目的だったこともあり実際に暮らす上での使いやすさや機能美を追求したと言われています。

窓際の特等席にコーア・クリントのファーボーチェアがありました。ファーボーチェアはフィン島南部の港町にあるファーボー美術館でゆっくりと絵画を鑑賞できるようデザインされたチェアです。コーア・クリントは「デンマーク近代家具デザインの父」とも呼ばれ「人間工学」と「リ・デザイン」の思想でデンマーク家具・デザインに大きな影響を与えた人物です。人が直接身体を預ける椅子をはじめ暮らしを整えるための収納家具についても研究し家具の機能性を追求しています。先ほど紹介した、モーエンス・コッホはこのコーア・クリントの下で学びデンマークの一般家庭を想定し、食器やカトラリー、畳んだ洋服など身の回りのたくさんのものを実測し家具の設計をしたと言われています。

以下写真3枚はLurf MUSEUMのH.Pよりお借りしました。


ファーボーチェアと合わせてあったのは、カイ・シムヘイのチェスボード。フレームはキューバンマホガニーとエボニー材でキューバンマホガニーは20世紀には資源が枯渇し流通がほぼ無くなり希少なものだそうです。天然石、ストーンモザイクの天板が繊細で美しく感動しました。手の届かないものですが、このテーブルがある暮らし、インテリアを想像してまたうっとりしました。

テーブルに置かれたランプはポール・ヘニングセン ピーエイチ1/1 ベッドサイドテーブルランプです。光源が見えず、眩しさのない下向きのあかりとガラスシェードを通した上向きのあかりがやさしく見ているだけで癒される、あたたかな雰囲気。シルエットもとても素敵でした。

照明についてもお話ししたいところですが長くなりそうなのでいつかの機会に。また、「リ・デザイン」は古くから存在する優れたデザインを現代の暮らしに合うように改善を図る考え方でデンマークが天然資源に恵まれていなかったことも影響しているようです。コーア・クリントの教え子にも受け継がれ、ハンス・J・ウェグナーのチャイニーズチェアやCH24通称Yチェア、JH501ザ・チェアの誕生に繋がっています。YチェアはハンスJウェグナーの作品の中で最も売れた椅子と言われていて日本でも大人気のチェアですね。

資源の少ないデンマークでは家具は使い捨てではなく、使い続けてシェアすることが一般的で家具を自分の所有物ではなく若い世代や次に使う誰かに引き継ぐものだと考えられています。デンマークは年間を通しても日照時間が短く、家で過ごす時間が長い国です。心地よく過ごすために椅子ひとつとってもただの日用品ではなく「人生を豊かにする」大切なものだと考えられています。家具を大切に使う社会の仕組みが定着していて何気ない暮らしの中に小さな幸せを見つけるデンマーク流の考え方が確立しています。偉大な巨匠たちがデザインと向き合った歴史やプロダクトが現代の暮らしにも届いていると考えると、本当に凄いことです。

生活に寄り添った使い心地、普遍的なデザイン、素材選びが現代にも愛される理由なのだと北欧家具・デザインの背景を知ることで深く読み解くことができます。私はチークの突板で作られた、褐色で艶っぽく、しっとり落ち着いた佇まいが好きです。自宅でもデンマークのヴィンテージ家具で、チークの突板で作られたキャビネットを使っています。

丸いガラステーブルは、なめらかな曲線でクロスした脚がどこから見ても美しいデザインです。冷たいもの、あたたかいもの、気兼ねなく置け使いやすさよし、サイズ感よしのテーブルです。天板のガラスはスモークガラスで、新品透明ガラスに取り換える選択肢もありましたが私はあえてそのまま使用しています。それがまたお気に入りで、毎日使っても何年使っても飽きず日々愛着が増す大切な家具です。北欧ヴィンテージ家具のほとんどは突板と呼ばれる素材が使われています。0.2mm~0.6mmほどに薄くスライスした無垢材を家具の表面に張りつけたもので、無垢材の家具より軽量です。(写真の丸いテーブルはイギリスのG-planシリーズの家具でチーク材で作られたものです)

突板というと安っぽいイメージを持たれがちですが、北欧ヴィンテージ家具の表面に使われる木材はチーク材やローズウッド材など美しく高価な木材ばかりです。ローズウッドやマホガニーは今では伐採が規制されているので希少な木材で作られたものに出会えるのもヴィンテージ家具の魅力だと思います。

カフェではチェアに凭れ北欧デザインの美しさに浸りながら、静かにゆったりとしたひとときが過ごせました。夜の雰囲気も素敵だろうな~と、また訪れる機会があれば、次は夜の雰囲気を味わってみたいです。



デンマーク、北欧ならではの家具や照明のあり方。家具を、モノを大切に使う文化と暮らし。
その素晴らしさに憧れなおすというか。改めて暮らしと家具、インテリアの関係性につて深く考えるきっかけになりました。本物に触れるって大切ですね。うまく言葉で表現できませんが、それこそが体感でしか得られない感覚なのだと思います。インテリアや暮らしを提案する上で、本物を見る、本質を知ることはとても大切で知識と感覚 、モノ・コトに想いを馳せることで心地よい暮らしやインテリアの想像提案ができるのだと私は考えています。

心地よく感じる空間や、好み、価値観はそれぞれです。
さまざまなモノ・コトの想像ができる感性を養い大切にしたいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございます。