家づくりに必要な年収は?
これまで色々な内容でお家づくりに関する情報を発信してまいりましたが、この辺りでお家づくりの基本的なお話しに立ち返ってみようと思います。
家づくりを計画するほとんどの方が住宅ローンを利用します。
また、ほとんどの方が初めて住宅ローンを利用します。
そのため、事前に全体予算の把握、借入に際しての状況確認、月々返済、金利に関しての情報などについてしっかり考えておくことが重要です。
今回のブログでは、家づくりに必要な年収や予算の考え方について解説していきたいと思います。
1.家づくりの総予算を考える
家を建てる際に必要な総予算には、以下のような費用が含まれます。
1.建築費用 建物そのものの建設費用。
2.土地代 土地を購入する場合の費用。
3.諸費用 火災保険・登記費用・税金・ローン手数料・保証料など。
4.付帯工事 地盤改良・解体・外構・エアコン・照明器具・カーテンなど。
これらを合計した金額が総予算となります。
特に付帯工事に関して、ここでは一般的な項目だけ書きましたが、土地の地域によっては浄化槽工事や井戸工事、上水道の引き込み工事、開発許可申請などなど。
土地を見ただけではわからないものも多いので、土地を検討する時には土地と建築のわかる人と一緒に検討されることをおススメします。
2. 一般的な年収と借入可能額の目安
住宅ローンの借入可能額は、年収に基づいて計算されます。
一般的な目安は次の通りです。
借入可能額:年収の5倍から7倍程度が目安と言われてきましたが、住宅ローンの借入期間が40年や50年という流れになってきたので、現在はもう少し増えている状況です。
返済比率:年間のローン返済額が年収の25%〜35%以内が望ましい。
上記に書いた借り入れ年数が増えたことで借入可能額の目安も増える理由はここにあります。
この計算をする時には年間での支出と収入のそれぞれの合計から計算されます。
借り入れ年数が伸びると、おのずと月々返済額は少なくなります。
ということは1年間での支払い総額も減ることになります。
減るという事は負担が減るという事に繋がるので借入額も増やせるという事になるのです。(そうしないと家が建てれなくなってきたという事ですね)
車のローンがあるとローンが厳しいと言われる所以もここにあります。
車のローンは多くの場合期間が5年です。
返済年数が短いので、家に比べて借入額は少なくても年間での返済額は結構な額になってしまうからです。
いわゆる残価設定の場合はこれまたちょっと考え方が違ってくるのでこれまた注意が必要です。
一例、年収500万円・金利1%・返済期間40年と仮定
- 借入可能額:4,000万円〜4,500万円
- 毎月の返済額:101,142円(返済負担率24%)〜113,785円(返済負担率27%)
そして、ここに既存の借り入れ(車・カードの分割・スマホの分割)などを加えて計算するわけです。
仮に車の借り入れ(月々30,000円くらいと仮定)があった場合
返済負担率31%~34%となってしまいますのでかなり厳しくなってくることがわかります。
返済負担率はどこの金融機関でも必ず設定されており、計算の設定も異なりますので注意が必要です。
負担率を計算する際の金利設定を高めに設定されていることも多いので、上記は考え方の目安として捉えてくださいm(__)m
3. 家づくりに必要な年収のシミュレーション
具体的にどのくらいの年収が必要かは、建てたい家の規模や仕様によって異なります。以下は、価格帯別のシミュレーションです。
あくまでも目安になりますが、ご参考までにm(__)m
価格 |
年収目安 |
月々の返済額(目安) |
2,000万円 |
300万円以上 |
5万円前後 |
3,000万円 |
450万円以上 |
7.5万円前後 |
4,000万円 |
600万円以上 |
10万円前後 |
5,000万円 |
750万円以上 |
12.6万円前後 |
※上記は金利1%、40年ローンを想定。
4. 自己資金を増やして負担を軽減
自己資金を用意することで、住宅ローンの借入額を抑えることができます。
一般的には、総予算の20%程度を頭金として準備するのが理想と随分昔には言われていました。
実際に、金融機関も全体計画の80%までしか貸さないという時代もあったそうです。
しかし、金利が上昇しつつあるとはいえ、それでも住宅ローンの金利は低い水準です。
将来を考えると、自己資金が仮にあったとしても、あえて出さずに、住宅ローン減税も踏まえて、住宅ローンをフルで利用するというのも一つの選択なのかなと思います。
車の急な買い替え、教育資金などなど、いつ何時大きな出費があるかわかりません。
自己資金はそういうときの為に貯蓄したり、手堅く資産運用したりすることを考える時代なのかとも思います。
この辺りは、色々な情報を精査しながら考えていくべき部分だと思います。
時代や家族のライフスタイルの変化によっても変わってくるからですね。
5. 自分にとって安心な家づくりを目指して
価値観やライフスタイルは人それぞれです。
自分に合った家づくりの流れをイメージすることが大事だと思います。
マイホームの購入はとても大きな事ですが、臆病になり過ぎても家づくりは進みません。
とはいえ、勢いだけで進んでいくのも決していいことではありません。
特に家づくりのスタートでは、土地・建物・予算の3項目に注力して全体の計画を組み立ててみる事を心得ましょう。
1.長期的な視点:将来の収入変化やライフイベントを考慮。
2.プロに相談:ファイナンシャルプランナーや住宅会社に相談する。
3.根拠のある商品選択と返済計画:周りがそうしているから…だけではダメです。
まとめ
年収と借入額のバランスは返済負担率の計算によって導きだされます。
返済負担率は、この年収の方であればこれくらいの返済計画は安全なはず。
という考えのもとに設定されています。
これまで20年近くこの業界に携わってきましたが、年収は十分なんだけど、既存の借入のせいで返済負担率の数値が厳しくなってしまう場面も多く目にしてきました。
また、日々の生活支出が平均水準よりも高めの方も結構いらっしゃいました。
年収からある程度の借入額は目安にできますが、最終的にはそれぞれの状況で大きく変わってしまいます。
根拠のある安全な家づくりを叶えるために自分自身の事、家計の事、家づくりを取り巻く状況、などなどきちんと話合いながら進めていきましょう。